危険な彼に焦がれて



「別に私は優しくなんてないです」


裏社会に足を踏み入れることを決意して以来、元々あってないような優しさなんてどこかに行ってしまったのだから。


「謙遜か?折川さん、意外とそういうタイプなんだな」


「はぁ、そうでしょうか」


何故、謙遜になるのかが分からない。


事実を言っているだけなんだけど。


そう思ったものの、また同じようなやりとりはしたくないためそれ以上は何も言わなかった。


「若、帰りました」


「あ、草薙、珠那ちゃん。おかえり……って、珠那ちゃん、その頬の傷は?」


ちょうど玄関にいた優雅さんに出迎えられ、すぐに傷のことを指摘された。


気づくのが早い。


そんな目立つ傷ではないと思うんだけど。


「……この傷は、ちょっと油断してしまっただけ」


「油断って、珠那ちゃんが?」