「……すみません」

 お互いににらみ合って今日も終わった。

 光琉は久しぶりに実家へ帰った。父に呼ばれたのだ。

 あかりへの想いに気付いたときから、家を出るべきだと悟り、五年前に病院近くのマンションへ移った。
 それ以来一人暮らしだ。特定の彼女は作らないが、遊び相手に不自由したことはない。

 かなりモテるのでストーカーされたこともある。
 だが、あかりに会うたび、彼女以上の女性を見つけられず、踏み切れなかった。諦められなかったのだ。

 実は父である院長は、光琉とあかりの二人を見ていて光琉だけでなく、あかりの迷いも見抜いていた。

 紫が原因で最近はあかりと光琉の距離がまた近くなってきたこともあかりの夫として心配のひとつとなった。