「このAという人物とBという人物は、まるであたしたちみたいですね。Aはすぐにココアを飲んだため毒によって死なず、時間が経ってココアを飲んだBだけが毒によって死んだ。もしもグラスに毒が塗られていたり、ドリンクの中身に毒が入っていたら、Aも死んでいたはずです。なら、何故Bだけが死んだのか。ヒントは「時間が経ってから」という文です。このドリンクには氷が入っていました。氷は時間が経てば解けます。ーーーつまり、毒はドリンクではなく氷の中に入っていたんです。氷が解けると毒がドリンクの中に流れていく。昴さん、あなたはこれと同じ手口を使ったんですね?」

「じゃあホットココアの方はどうです?もちろんホットですから、氷なんて入っていませんよ?」

昴さんにジッと見つめられる。推理に不安がないと言えば嘘になる。でも、これがあたしにできる精一杯の推理だ。

「そうですね。ホットココアに氷なんて入っていませんし、氷が入っていたらあまりにも不自然です。ですが、アイスココアの時と同様にカップやココアに薬が入れられていたという可能性は、昴さんの冷静な反応を思い返せばゼロだとわかります。なら、何に薬が入れられていたのか?それはこれです!」