「昴さん、あたし、重くなかったですか?」

気になっていることを恐る恐る訊ねる。診察を出ようとしていた昴さんは、フッと笑って言った。

「全然重くありませんよ。むしろもう少しふっくらしてもいいくらいです」

「そうですか、よかった……」

あたしが少しホッとしていると、昴さんはニコニコと笑いながら近付いてくる。そしてあたしの手を包み込み、言った。

「もうこんな時間ですし、僕が送って行きますよ。夕食を一緒に食べましょう」

食後にはココアでも飲みましょうか、そう昴さんが言ったため、あたしはすぐに「ダメです!!」と言う。ココアはコーヒーや紅茶より大好きだからその提案は前なら嬉しかったけど、今はダメ!!

「そこまで警戒しなくても大丈夫ですよ。あなたの体の負担になるようなことは、これ以上はしませんから」

昴さんはそう言い、あたしに軽くキスをした後に診察を出て行く。今度はバッグを取りに行ったのではなく、夕食の準備をするためだろう。