ああ描きたい、と。あのとき私は、強く、強く思った。だからなのか、不思議とあの日のことは忘れない。いつだって鮮明に脳裏に浮かんでくる。
「課外活動、ね」
ほんの数秒が何分、何十分の感覚で。やがてゆっくりとうなずいたユイ先輩は、絵を描いているときと同じ瞳の色をしていた。
「……いいよ。でも、場所は俺が決めていい?」
「はい、ありがとうございます。ふふ、楽しみだなあ」
──本当は、ずっと言わずにいたかった。
苦しみも悲しみもつらさも、現実の非道さも、なにもかも、いつもの笑顔の裏に隠したままでいたかった。
追いかけ続けてきた私の夢が、儚くも桜のように散っていったように。
それでも、きっと優しい先輩は、暗れ惑う私に言うのだろう。
たとえ自分の感情を押し殺しても、大丈夫だ、と。



