「そっ、ういう目的だったんですか!?」
いや? と、ユイ先輩はくすりといたずらに笑った。
さらさらと凪ぐ白銀の下。いつになく強い意思の籠った先輩の瞳が私をなぞる。
「大丈夫。一緒にいよう、鈴」
「っ……先輩」
ユイ先輩の言葉はやけに力強く、ともすればらしくないほど頼りがいがあるものなのに、どこか危うげに感じられた。
目を離したら消えてしまいそうな儚さを孕んでいるのは相変わらずだけれど、そのさきには言いようのない仄暗さを纏っているようにも見える。
怖い、と思うのはどうしてか。
──……ああそうか、と私はようやく気づく。
私がユイ先輩に病気のことを打ち明けられなかったのは、他でもなく、そこに一抹の恐怖を覚えていたからだと。
いずれやってくるそのとき、先輩が私と一緒に消えてしまいそうで。
命の灯を消したクラゲのように溶けて消えてしまいそうで。
私はそんな先輩を道連れにしてしまいそうで、とても恐ろしかったのだ。



