「彩芽。……ろ。……起きろっ!」

「……ふぇ?」



なんだか体が揺すられている……?

それに私の名前を呼ぶ声がする……。

んんぅ。気のせい、だよね。

目覚ましも鳴っていないし、まだ眠れる……。



「って、起きろ! 寝るな!」



その声と同時に、布団を思いきりはがされる。

体に触れるのはひんやりとした朝の空気。

私は眠たい目をこすって、ゆっくりと目を開ける。

私の目に映ったのは、幼なじみの優磨の顔だった。



「優磨っ⁉ なんでここにいるの⁉ 人の寝込み襲うなんてダメだよっ!」

「誰も彩芽の寝込みなんて襲わねぇよ。それに、俺、昨日からこの家に住むことになっただろ」



『忘れたのか?』と言うように、ため息をつく優磨。

忘れていたんじゃなくて、寝ぼけていただけだもんっ。

……ああ。完全に目が覚めた。