「蒼佑、もうおさまった?」


 優しく、問いかけた。蒼佑の頭がゆっくりと縦に動いた。


「ずっと君を、羽琉だけを探して、求めて、生きてきた」


 蒼佑の真摯な思いが、私に真実を教えてくれているようだった。蒼佑が大きく肩を揺らして息を吸って吐いたのを見届け、俯いていた顔が上がり、その瞳が私を捉えたことを悟る。そして私の忘れていた記憶の話を聞くことを、覚悟する。

 そして蒼佑は語り出した。私たちが歩んだ、1500万年の年月の意味を。


「俺たちは、まだ幼かった。世界の神秘を知るにはまだ、早すぎた。でも、…知ってしまったんだ。人間が解き明かしてはいけなかった、その頃の神々の神秘を」