……あぁ、うん。まぁ、何て言えば良いのかな。

 何から話せば言いのかな。きっとどんな説明をしても、どんな言い方をしても、俺がこれから話す出来事全てに理解を示すことの出来る人なんていないんじゃないかなって。そう思う。

 俺は神の予言通り生まれ変わり、2回目の人生を始めた。まぁ1度目の人生よりもマシだったのは、深い愛情を与えてくれる両親がいたことだろうか。


「大知ー、朝ごはんが出来たわよ。降りてきなさーい!」


 母親は朝から低血圧な人ではなくて、いつも元気一杯の人だ。そんな母親の元気な姿に、俺は何度感動したことだろう。


「はーい…」


 俺は制服のボタンを全部締め、あくびをしながらそう答えた。

 俺の2度目の人生は、21世紀の日本だった。性別はもちろん男。名前を道枝大知(みちえだ だいち)と言った。

 俺の隣はもう、マリアがいない。俺を支えてくれたアルベスさんもアレッサンドロもいない。俺はこれから、1500万という命を孤独なままに生き続けなければならない。

 そう思うと、もうそこには絶望という言葉しか存在していなかった。目の前が真っ暗だった。死にたかった。死んで、マリアたちのいる場所に俺も行きたかった。


「ちょっとお兄ちゃん!ノロノロ歩いてばかりいないでさっさと歩いてよ!」


 そう声を張り上げたのは俺の妹、道枝紗英(みちえだ さえ)だった。


「はいはい、……」


 半ば疲れた声でそう返事をする。すると紗英は、そんな俺に苛立ちを覚えたのか、思いっきり眉をしかめた。


「…ぅあーもうっ!はいは1回っていつも言ってるでしょ!!何度言ったら気が済むのよ!?」


 そんな母親が言うようなセリフを3歳も下のガキンチョに言われてもな……。説得力っていうものがないんだよ。