俺は決心した。
『君を守れる者になる』
強くなって、迎えに行くから。その時までどうか俺を信じて待っていてほしい。マリアと離れると思うと、とても苦しい。でも、これから二人でいるためには俺が強くならなければだめなんだ。とても不安だ。今すぐにでも引き返したい。でも、そうしなかった。
「タラニス、と言ったな」
アルベスの息子、アレッサンドロが声を発した。
「はい」
この人からは、勇気と優しさと強さが体中から伝わってくることが感じられた。
「これから私たちは訓練場へ向かう。覚悟はもう出来ているか?」
俺は真っ直ぐに力強く頷いた。
「はい。決して中途半端な気持ちではありません。俺は強くなるために騎士団に入ります」
俺がそう言うとアレッサンドロは少し驚いたように目を見開いた。
「君は、……聖騎士長に似ているな」
そう言ってアレッサンドロは、感慨深げに頷いていた。
父に似ている。初めてそんなことを言われた。いつも見ていた父の姿は立派で、とてもかっこよかった。そんな父に似ていると言われたことがとても嬉しかった。でもそれは今じゃない。今の俺には、父のような姿を見せることは出来ない。でもいつか父のようになりたい。
「俺はいつか、父のような聖騎士長に必ずなって見せます」
それは俺の本音だった。
「ははっ、それは立派だな。君の将来がとても楽しみだよ」
彼が見せた笑顔はアルベスの優しい笑みにとても似ていた。そしてその笑顔はとても眩しかった。