何かあった?
今、何を考えてる?


聞こうかどうしようかと迷ってる内に、煌人は「そうだ」と手を叩く。



「この前、給食じゃなくて弁当だったろ。凜の弁当に入ってた唐揚げ!すげー美味かった」

「え……ほ、本当!?」

「ほんとほんと。まさかあの唐揚げって、凜の手作r、」

「そう言ってくれると嬉しい!作ってくれた人が今から来るから、ぜひ直接言ってあげて!」

「……え?」



私が「お願いね!」と言って煌人の手を握る。

煌人は「お、おう」と返事をするものの、納得いかない表情を浮かべた。



「唐揚げ、凜が作ったんじゃねーの?」

「お父さんだよ?」

「(お父さんかよ!!)」



ガクッと落ち込む煌人。

だけど、私は嬉しかった。



「煌人、ありがとう。お父さんの手料理を褒めてくれて」

「凛!お前が俺に礼を言うなんて、」

「うん、ありがとう!」

「……〜っ!」
(超レアな光景に、言葉にならない)



真っ赤になった顔を隠すように、手で顔を覆った煌人。

「そ、そう言えば!」と、腕を組みながら不自然に窓の外を見た。



「お前の家は、お父さんが料理するんだな」

「え、と……」

「ん?」

「……」



何気なしに言った煌人。

そんな煌人に、私は何か言葉を返すんじゃなくて……



ニコリ、と。

ただ笑って、それを返事とした。