(なんとなくお化け屋敷っぽいし……)
思わずディオンと繋いでいた手をぎゅっと握った、そのとき。
「……父上?」
ふいに上の方から小さな声が落ちてきて、ルイーズはパッと顔を上げる。
声の主はホールの中央から続く階段の上にいた。石造りの手すりの影から、どこか怯えたような面差しでおずおずと顔を覗かせている。
(……だれ?)
年頃はルイーズとそう変わらないだろうか。明るい黄金色の髪と、芽吹きたての若葉のような色彩の瞳を持つ幼い少年だった。
「リュカ……ちょうどいい。こちらへ来なさい」
「は、はい」
その子はエヴラールの指示に返事をすると、慌てた様子で階段を降りてくる。
「息子のリュカ。六歳になります」
「ほう、あの泣き虫だった赤子か。ずいぶんと成長したものだ」
興味深そうに答えたグウェナエルは、エヴラールの足元でおろおろしていたリュカと視線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「相変わらず母親によく似ているな、リュカ。顔立ちはエヴ寄りなようだが」
「えっ……」
グウェナエルはリュカの頭を撫で、ルイーズの方を振り返った。
「俺の名はグウェナエルという。こっちは俺の娘、ルイーズだ。歳は……おまえのひとつ下になるか。仲よくしてやってくれ」
「あ、う……その、はい……」
どうにも狼狽えながら、リュカは様子を窺うようにエヴラールを見上げた。
一方エヴラールは、小さく首を横に振って呆れ交じりに嘆息する。
「申し訳ありません。リュカはどうも、引っ込み思案なところがありまして」
「かまわん。おまえのその鉄仮面よりはよほど可愛げがある」
(それは、うん。たしかに)



