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例のごとく転移魔法で一瞬にして移動した先は、城の入口だ。
精巧な石造りの城は、重厚な白亜の城壁に囲まれていた。二本の側防塔に囲まれた城門には落とし格子があるが、見たところ城門兵はいないようだった。
「我が城は領地内でもっとも高台に位置しています。なのでここから城下や民の様子を一望することができるのですよ」
「ほわぁ……」
エヴラールの言葉通り、城門に続く坂の下には城下の街並みが広がっていた。
城下町へ繋がる緩やかな坂道には星飾りのような灯篭が並んでおり、空間を淡く照らしている。ルイーズが見た光の正体は、この灯篭が発する灯火だったようだ。
少し外れてはいるが、城下を囲む森林の外れには湖のようなものも見える。
「すごい。ぜんぶきれい……!」
青白い光に浮かぶ世界は幻想的で美しく、遠目から眺めただけでも感動する。
感嘆の声を漏らしたルイーズに、エヴラールが視線を下げて反応した。
「そう感じていただけて光栄です、王女殿下」
「うん。この青いきらきらたちね、ルゥ、すっごい好き。お星さまみたい」
「ええ、まさに星の瞬きを意識した街づくりを心がけています。私はこういったしっとりと落ち着く雰囲気が好きなもので」



