「んーん……いいの。怖かったけど、パパはちゃんと守ってくれたし」
「本当になんとお詫び申せば……それもこれもわたしが離れたせいでっ!」
「や、それはちが」
「これからは絶対におそばを離れませんからね!!」
「……そ、そんなに意気込まなくても」
ディオンといい、ベアトリスといい、ふたりの過保護は一向に増すばかりらしい。
(でも、ディーのおかげでちょっとだけ落ち着いてきたかも)
ルイーズのなかに深く根付く絶対的な信頼感と安心感。長い時間と触れ合いを経て築いてきたその部分に関しては、やはりディオンに並ぶ者はいない。
「ディー、だっこ。パパのとこ連れてって」
「……大丈夫ですか? ご無理はなさらなくてもよいのですよ?」
「へーき。ルゥが行かないと、たぶんあの魔王さま死んじゃうから」
よほど娘が離れていったことがショックだったのだろう。グウェナエルは大気を揺らすほどの邪気を纏いながら、エヴラールの胸元を掴み上げていた。
「やはり、貴様は殺す。覚悟しろエヴラール……!」
エヴラールはエヴラールでいっさい抵抗せず、ただされるがままになっている。
グウェナエルは完全に頭に血がのぼっているようだし、放っておいたら取り返しのつかないことが起きそうだ。さすがのルイーズも黙って見てはいられない。
「パパ。やめて」
「っ……ル、ゥ」
「だめだよ、それ以上苦しくしたら。だって、パパの味方なんだよね? その、えうら……えぅらー……え、えぶらあーるさまは」
「……エヴラールだ。ルゥ」
「えうらーある」
どうも〝エヴラール〟がうまく言えなかったが、言いたいことは伝わったらしい。



