「ルイーズがいるというのに剣を向けたこと、決して許さん」
「…………」
「と、言いたいところだが。まあ、今回だけは大目に見てやろう。次に同じことをすれば、たとえおまえでも地獄に突き落とすがな」
「承知しております。……しかしながら、やはり姫さまであらせられましたか」
ふいにじっと視線を向けられ、ルイーズはびくりと肩を跳ねさせた。
「陛下によく似ておられるので、そうだろうとは思っていましたが」
「似てるか?」
「似てますよ。気配からなにから、そっくりです」
エヴラールからもう敵意は感じない。
けれど、いきなり攻撃してきた相手だ。さすがのルイーズでも拭いきれない恐怖が芽生えているし、さすがにあの剣戟は幼い精神にはダメージが大きかった。
(やだ……こわい)
おろおろと視線を彷徨わせ、下方で鬼のような形相をした従者たちを見つける。
数瞬ほど迷ったが、ルイーズはグウェナエルの服を掴んで訴えた。
「ルゥ、おりる。おろして」
「……やはりこいつは殺した方がいいか?」
「んーん。でもルゥ、おりる。ディーたちのとこ行きたい」
まるで落雷にでも遭ったかのように「ぐっ」と呻いたグウェナエル。
よろつく父をさらに急かし、ルイーズはようやく地に降り立った。地に足裏が着地したと同時に駆け出し、同じように駆け寄ってくる従者たちに手を伸ばす。
「姫さまっ!!」
「ご無事ですか、姫さま……!?」
ルイーズは両手を広げてくれたディオンの腕のなかに飛び込んだ。
しっかりと受け止めてくれた彼は、いち早くルイーズに怪我がないか確認した。



