ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~


 さすがに二発目は横に逸れて直撃を避けたグウェナエルだったが、三発目はなんと空中で長い足を振りかぶり弾丸を蹴り返した。飛んできていた速度の倍になって打ち返されたそれは、もとの道を辿るように飛んでいく。

 だが弾丸は、光の集まる場所へ到達する前にパッと霧散した。ひとつも呼吸を乱さぬまま見届けたグウェナエルは、しかし一瞬、気を張り詰める。

「──来たな」

 なんのことやら、グウェナエルが呟いた直後、目の前に魔法陣が浮かんだ。

 刹那。

 カキンッと金属が擦れる不協和音が鼓膜を衝いた。

(なんか生えた……っ!?)

 魔法陣から現れた男が、グウェナエルに向かって剣を振り下ろしていた。その攻撃を難なく受け止めたグウェナエルの手にも、いつの間にか剣が握られている。

 柄も刃も墨で染めたかのように黒々しい大剣だ。

(だからどっから出てきたの、それ……!!)

 大魔王の四次元ポケットは本当になんでも入っているらしい。ルイーズがわけもわからず父にしがみついたのも束の間、激しい打ち合いが始まった。

 剣と剣。刃がぶつかり擦れる音が耳元で絶え間なく響く。

 グウェナエルは基本的に受けているだけだが、否が応でも身体は揺れるのだ。

 落とされる気配はなくとも、片腕に抱かれて共に衝撃を受けているルイーズからしてみればたまったものではない。

「ちょ、パパ……っ」

 やめて、の意を込めて、必死に顔を上げる。

 そのとき、ルイーズの声に反応したのか、相手の男にわずかな隙が生まれた。