ふいに振り返ったグウェナエルは、そんなベアトリスを見据えて口火を切った。
唐突になにを言い出すんだと、ルイーズはぎょっとして父を見上げる。
「このまま俺たちと共に魔界に旅立てば、おまえも掟破りの共犯となるわけだが」
「……存じ上げております」
「ここで別れ人として生きるか、人世を捨てルイーズの従者として生きるか。選択はふたつだ。生半可な気持ちで進むことは許されない。慎重に選べ」
ルイーズは戸惑いながらグウェナエルとベアトリスを交互に見る。たしかに重要な局面ではあるが、なぜそこに〝ルイーズの従者〟という選択が入るのか。
「なんでルゥ? パパじゃだめなの?」
「……騎士というものは、忠誠を誓った相手に仕えるものだ。ゆえに〝主〟は、心身を、命を捧げるに相応しいと己が認め、揺らがぬ忠義を最期まで貫き通せる者でなければならない。その点、すでにベアトリスはルゥに誓いを立てているだろう?」
そうなの?とベアトリスを見れば、彼女は曖昧に微笑んで同意を示した。
「じゃあ……従者なのは、どして? お友だちとして一緒に行くのはだめ?」
「悪いが、それは俺が許さん」
一蹴され、ルイーズはしゅんと眉尻を下げた。
「俺たちの立場は非常に危ういんだ。己の人生を捨てられるほどの覚悟がない者を連れていくわけにはいかない。わかってくれ」
「ううん……」
グウェナエルの言っていることは理解できる。そして、正しい。



