ルイーズはもう一度ミラベルが眠る墓石へ視線を戻すと、こみあげてきたものを飲み下して、きゅっと下唇をかみしめた。
生きとし生けるものに、死は必然として、摂理として纏わりつく。
人も、悪魔も。生を得ている時間に差はあれど、いつかは終わりを迎えるものだ。
(でも、ルゥははんぶんこだから、もしかしたらパパより先にママのところに行くかもだよね。そしたら、ママとふたりでパパがくるのを待っていられるかな)
悪魔は人よりもずっと長い寿命を持つと聞く。
仮にルイーズがいつぞやの未来、〝人〟としての寿命で命を終えるのなら、グウェナエルやディオンよりも先に旅立つ可能性だって決してゼロではないはずだ。
(置いてくのも、置いてかれるのも、やだけど)
とはいえ、いつどうなるかなど、聖女だって予測はできない。
胸の奥にうずまく漠然とした不安を口にしたところで、過保護な周囲にいらぬ心配をかけてしまうだけだろう。
心のなかだけで留めておくことに決め、ルイーズは立ち上がった。
「ママ、またくるね。おやすみなさい」
同じく立ち上がったグウェナエルに、背後から抱きあげられる。
「ここでは花が散ってしまうからな。転移できそうな場所はあるか?」
「うん。あっちならへーきだよ」
おそらく昨日のように闇魔法で転移するのだろう。
察したルイーズが指さした方向へ、グウェナエルは足早に歩いていく。
ディオンとベアトリスも少し遅れて後に続いた。ディオンはいつも通りだが、ベアトリスは始終どこか躊躇いがちな表情だった。
「……さて。問おうか、ベアトリス。おまえの未来の選択を」



