ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~


 なんにせよ、自身が去ったあとの魔界が気がかりだったグウェナエルとしては、どんな形であれ均衡が保たれているだけで吉報だった。

「で、その魔王たちの名はわかるか?」

「はい。ひとりは魔王ブレイズさま。かつて、陛下に挑み敗れた者ですね。あれからさらに力をつけて、上級から魔王へのし上がったそうです。現在は東のランベス炎獄の地を支配していると聞きました」

「ああ……あいつか。たしかに、骨のあるやつだとは思ったな」

 グウェナエルは、かつて戦ったときの記憶を思い起こした。

 ブレイズはとにかく野性味に溢れ、血の気が多い。常に力を求めており、己よりも強い悪魔に喧嘩を売っては高みを目指す、ある意味悪魔らしい悪魔だった。

 魔界にいた頃は、しょっちゅう相手をしてやっていた気もする。

 まあ、グウェナエルからしてみればまだまだヒヨっ子悪魔でしかなかったが、どうやらこの五年でまた成長したらしい。

「もうひとりは、魔女王ララさまですね」

「ララ? あのとんでも能天気なララ姫か?」

「ええ、そのララさまです。能天気ぶりは相変わらずなようですが、彼女、あれでも実力者ですからね。ちなみに、支配しているのは北のカルタッタ氷山脈付近です」

 ララはブレイズとはむしろ真逆な性質で、能天気、マイペース……捉え方を変えれば、温厚かつ超平和主義な悪魔だ。異常に〝美〟へのこだわりが強い点は厄介だが、ディオンのいう通り、実力はある。魔王の座に就くのも納得ではあった。

(ブレイズに、ララ。すでに癖が強いな)

 よいのか悪いのか、と思わず苦笑してしまいながら、グウェナエルは尋ねる。

「で、最後のひとりは?」