ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~




 ──目覚めたとき、ミラベルの記憶が濁流のように流れ込んできた。

 グウェナエルとミラベルが別れたあの日から五年。ミラベルとルイーズ、そしてディオンが、ルエアーラ幽谷で身を隠しながら過ごした日々の記憶だ。

 ミラベルの記憶にあるルイーズは、幼いながらも賢く聡い子だった。

 だが、その賢さこそルイーズにとっては〝危険〟なのだと、ミラベルは言う。

『お願い、グウェン。あの子を守って。そして、正しく導いてあげて』

 ルイーズがその身に宿している力は、到底計り知れない。

 大聖女と謳われたミラベルさえも超える力──それは得てして、ルイーズという存在自体を蝕む枷となりかねないのだと、彼女は神妙に告げた。

『ルゥはいい子すぎて、いつもひとりで抱えてしまうから。賢いからこそ、自分自身には疎いのよ。心の傷も、痛みも、見なかったことにしてしまえるの』

 よほど愛娘が心配だったのだろう。肉体が失われながらも意思の欠片となって現れたミラベルは、久しぶりの再会だというのにルイーズのことばかり話していた。

 だが、それでよかった。

 ルイーズは、ふたりにとって、なににも代えがたい宝物だから。

『ごめんね、グウェン。わたしは、本当の意味であの子を守り抜いてあげられなかった。小さな世界に閉じ込めて、危害が及ばないようにするのが精いっぱいで』

「そんなことはない。おまえはよくやっていた」