「ああ。加えて、世知辛い。わたしは〝女〟であるだけで正当な評価がされず、延々と副隊長の座についていたからな。わたしはわたしで不満があったが、部下たちはそもそもわたしの存在自体が気に食わなかったんだろう」
ようするに、邪魔者。目の上のたんこぶ的存在。
状況を想像しながら不快な思いに駆られて、ルイーズは唇を引き結んだ。
「女騎士はそもそも少数派だ。まあ、当然だな。未来が保証されない上に命がけ。そんな職など女は誰もつきたがらない。もちろん入団時より相応の扱いを受けることは覚悟していたが、それにしても馬鹿馬鹿しい……笑える末路さ」
ベアトリスは悔しさを噛みしめるように告げ、ひょいと肩を竦めてみせた。
「──と、つまらないわたしの話はこのくらいで。ルイーズさまは、なにゆえこのような場所に?」
「え、ルゥ?」
「言いたくないことでしたら、無理に聞くつもりはありませんが……。ただ、どうか助けていただいたお礼はさせてください。命の恩人ですから」
口調を改め、さっと表情を切り替えたベアトリスはルイーズに向き合った。
「んん……ん~~……」
ベアトリスは、悪い人間ではない。
それはいまの話を聞いていても、彼女から感じる〝気〟を見ても明白だろう。
しかし、だからといって、なにもかも打ち明けられるわけではなく。
そもそもルイーズは、容易に他者と関われない立場だ。裏切られたら終わりという己の立場を考えれば、下手は打てない。
(国の人だったなら、なおさらルゥのことバレたらだめだよね。でも、ちょっとごまかしながらなら大丈夫かな?)
ベアトリス自身も、いまは追放された身。



