安易に聖女と名乗ってしまったことを後悔しながら、ルイーズは眉尻を下げる。
「ちゃんと説明するね。だから、あなたもちゃんと説明して。どうしてこんなところにいるのか、とか。聞きたいこといっぱいあるんだ」
「っ、はい。あの、その前につかぬことをお聞きしますが……聖──ではなく。ルイーズさまは、おいくつで……?」
「ルゥ? 五歳だよ」
「ごっ……!?」
二度見どころか三度見の果て、ベアトリスは唖然とルイーズを凝視した。
(……やっぱり、五歳って、こんな感じじゃないのかな?)
これまで母と使い魔しか関わりがなかったルイーズは、自分のいまの姿が正しいのかわからない。ただ、ディオンはいつも賢いというくらいだし、そう言われる程度ならば大丈夫なのかとタカを括っていた部分はあった。
「……ごめんね。ルゥのこと、こわい?」
「いえっ、滅相もない! わたしの知る五歳児ではなかっただけで、怖いなどとは思いません。ルイーズさまは、愛らしい上に大変聡明なお方なのですね」
「そんなことは、ないけど」
じつは前世の記憶がほんのり残ってて──。
なんて言えるわけもなく、ルイーズはそろ~っと目を逸らした。
正直、このあたりのことは深堀りされると困ってしまう。
前世の記憶があることとルイーズの出自は関係ないが、その〝異常さ〟からルイーズが〝人と悪魔の混血〟である事実に飛び火する可能性もある。
ディオンも危惧するところがあったのか、わざとらしく咳払いをしてみせた。
ベアトリスの邪険な視線が、ふたたびディオンへ向けられる。



