ディオンがミラベルに仕えていたときは手放しに甘えられたが、いまのルイーズはディオンの〝主〟だ 彼を従える立場としての責任がある。
「姫さま」
「っ、うん?」
「姫さまもこちらに。余った花弁で、簡単な寝台を作りましたので」
いつの間にやら、ディオンが地下室内の環境をテキパキと整えていた。
花弁を数枚重ねて作られた寝台に寝かされたおねえさんは、いまだ目を覚まさないまま眠り続けている。頭巾を外した姿は、やはり見惚れるほどの美人だった。
「あれ。ディーのは?」
中央に置いた小さな燭台を挟んで、おねえさんとは対角上にルイーズ用の寝台も作られていた。だが、なぜかひとつしかない。
「自分は平気です。いつも通り寝ますので」
「……いつも通りって……だめだよ。ディーも、ちゃんと休まないと。もうちょっとお花持ってきて、ここでルゥと一緒に寝よ?」
ね?と首を傾げれて見せれば、その瞬間、ディオンが崩れ落ちた。
同時に「うぐぁっ……!!」と妙な奇声が上がる。
「ちょ、ディー?」
「……い、いえ姫さまがあまりにも可愛すぎて心臓が一瞬止まりかけただけですどうかお気になさらずこの動悸は自分にとって生の証でもありますから」
「…………なんて?」
早口な上にノンブレスで言いきられ、さっぱり聞き取れなかった。
「なんでもないのです。……ええと、では外から何枚か追加で持ってきますので、姫さまは休んでいてください。今日はとてもお疲れでしょうしね」
「あ、うん。ありがと」
(たしかに、ちょっと疲れたかも。すんごいねむいし)



