「ん、いい感じ。……底なし沼じゃなくてよかった」
ルイーズの指示通り、底の部分は平らになるように掘ってくれている。
大きなサラダボウルのような穴だ。幅はそこまで広くはないため、茎の部分を対角上の地面に渡らせれば、簡易的ながら屋根の骨組みができる。
身体を清めて戻ってきたディオンにも手伝ってもらい、格子状にして丈夫にした骨組みの上に、ザーベスの花弁を重ねるように敷き詰めていく。
内部に入れるように、一箇所だけ隙間をあけておくことも忘れない。
「できた……!」
「ああ、なんとすばらしいのでしょう。地下室ですね、姫さま!」
「うん。お外の空気に触れずに済むから、ちょっとは寒さもしのげると思うの」
ディオンにおねえさんを抱えてもらい、先になかへと降りてもらう。
その後、下から抱えられるようにしてルイーズも降り立つと、内部は予想以上に空気がこもり温かかった。しっかりとカマクラ仕様が適用されているようだ。
(よかった。地中にも毒素が染み出してたら危険かもって思ったけど、大丈夫そう)
──つまり、ザーベスはなにもこの地の毒を吸い上げたことで毒花になっているわけではなく、最初から毒を含んだ花だったと仮定ができる。
しかし、改めて考えてみればそれも道理だった。もしも土地に毒素が含まれていたのなら、歩くだけで足裏が溶けていた可能性もあるのだから。
(もっと、しっかり考えなきゃ……。ルゥのせいで、ディーがいつか怪我しちゃうかもしれないし。それは絶対にやだもんね)
いまさらそこに思い至って、ルイーズはひとり肝を冷やした。



