「あのね、野宿、みたいな? ここでちっちゃなおうち作るんだよ」
慌てて説明すると、ディオンは「ふむ」とすぐに飲み込んでくれた。
「野宿をキャンプ、というのですね。覚えました」
「あ、うん」
さすが〝ルイーズこそ正義〟を本気でポリシーに抱える従者。ルイーズが失言しても、だいたいは子どもの造語として受け取ってくれるため、非常に助かる。
(でも、どーしようかな。テントないし)
ここではいつも、丸まったディオンの懐部分に挟まって寝ていた。
しかしながら、まさかその場所に大人の女性を入れこむわけにはいかないし、そうしたところで今度はルイーズが凍死してしまう。
看病するにも、まずは環境を整えなければならない。
「……よし。ディー、手伝ってくれる?」
「もちろんです。いかなることでも、このディーにお申しつけくださいませ」
紅髪の女性──もとい〝おねえさん〟も一緒に、ルイーズたちはあまり沼地が固まっていない場所へ移動する。
一向に目を覚ます様子のないおねえさんを、ひとまず持参していた敷物を広げて寝かせると、ルイーズたちはすばやく次の行動に移った。
空模様の変化はわかりにくいが、確実に先ほどより暗度は増している。
おそらく時刻はすでに夕刻だろう。あと数時間もすれば、真冬のように空気が冷え込んでくる。そうなる前に完成させなければならない。
「まず、ザーベスのお花をいくつかきれいにするね。あと、あそこの沼も」
「沼も、ですか? おそらくあれは、ザーベスのように毒素を抜いても泥だらけで飲むことはできないと思いますが……」



