~二章 ちびっこ聖女と女騎士の邂逅~


 無事に食糧と水分を確保してから、はたして何日が経過したのか。

「なんか、この先……ちょっとちがうね」

「本当ですね。ここに来て初めて景色に変化が……」

 走っても走っても同じような景色が続いていたザーベス荒野。

 だが、ふいに視界の色の暗度が落ちた。

 ルイーズたちが見つめる先の空は、より濃い暗雲が立ち込めている。湿地の水分量も明らかに増しているうえ、ところどころ沼地になっていた。

 だが、その沼地の色はあきらかにただの泥沼ではない。いっそザーベスの茎よりも深みのある毒々しい紫色だ。それも、なぜかポツポツと水泡が上がっている。

「……もしかして、パパに近い?」

「その可能性はありますね。ですが、おそらくこの先はより危険です。いいですか、姫さま。まちがってもあの沼に触れてはなりませんよ」

「ん。たぶん、溶けちゃうもんね」