ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~


 リュカの優しさは、しっかりとルイーズの胸の内まで染み込んで癒してくれた。

 エヴラールはリュカのことを叱るかもしれないが、それはそれでいい。悪いことをしたら怒るものだ。その役目は父親である彼が担ってこそ、リュカに響く。

 だけれどルイーズは、そのぶんリュカを褒めてあげようと心に決めた。

 少なくともルイーズだけは、リュカの味方でいてあげたかったのだ。

「……はふぅ」

 とはいえ、やはり燻る熱がなくなったわけではない。頑張って喋ったことでなけなしの体力が削られ、ルイーズはぐったりとディオンに身体を預けた。

「姫さま……っ」

「……やはりこのような場所ではお身体に障りますね。自分たちだけでも城に戻りたいところですが、あまり揺れてもよくないでしょうし」

 木々の影に隠れながら、苦い顔をしたディオンが湖の様子を見る。

 鯨のような魔物は、あれきり息を潜めていた。水中にいるのはたしかだが、上空で待ち構えるグウェナエルたちを警戒しているのか出てくる気配はない。

「いったん引くという考えはないのか?」

「一度テリトリーに入ってしまったがゆえ、仮にここで引けば、アレが我々を追って河を下り、城下まで出現する可能性があります。魔物は敵と見なしたものを延々と追ってくる執着性がありますからね。グウェンさま方はそれを懸念しているのかと」

「っ、厄介な相手だな。見えないというのは」

 そろって難しい顔をする従者たちに、リュカはじわじわと現状を理解してきたようで、青い顔がさらに白くなっていく。

 これでは、そのうちリュカまで倒れてしまいそうだ。

(……どうしたら、いいの? ルゥになにかできること──)