「水晶花は魔力を安定させる力があるって言ってたでしょ? だから、ルゥにもあげたかったんだけど、ちょっと手に入れるのがむずかしくて」
「そう、なの?」
「うん。ぼくは勝手にお金を使えないし、いまはすごく貴重になってて水晶花自体が市場に出てないんだって」
「……だから、自分で……?」
リュカはこくんと頷きながら、きゅっと下唇を噛みしめた。
「だめなことだって、わかってた。でも、これくらいしか〝ぼくにできること〟って思いつかなかったから。すぐに採って帰れば、朝までには城に戻れるし……。もちろん、そばまで行ってみて、魔物がいたらやめようとは思ってたけど」
なんて勇敢な、とルイーズは呆れ交じりに息を呑む。
(いつも、あんなに引っ込み思案なのに)
一度自分が決めたことに関しては、抜群の行動力を発揮する。
それはともすれば非常に危険と隣り合わせな一面でもあるのだが、まちがいなくリュカの強みだとルイーズは思った。
(無謀だし、無茶苦茶だし、信じられない。けど、リュカはそうして〝行動〟できちゃうんだよね。見て見ぬふりしたり、やる前から諦めたりしないんだ。……やっぱりルゥは、そんなリュカがすごくかっこいいと思うよ)
少なくともルイーズは、そんなふうに芯が強い者が〝王〟になってほしい。
まだ小さいけれど、とても優しくて、温かくて、誰かのために勇敢になれる神話の英雄みたいな王子が、いずれ自信を持って〝王〟になるところを見てみたい。
「リュカ、ありがとう。すんごくうれしい。なんだかこのお花を抱えてると、ほんとに楽になってく気がする」
「っ、本当に!?」
「うん」



