ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~


 とはいえ彼自身はピンピンしているようで、ルイーズはほっと胸を撫で下ろした。

「………………」

 エヴラールは、しばし荒い呼吸をしていたが、やがてひとつ大きく息を吐いた。

 そして、脱力しながらもリュカを抱き寄せる。

「……リュカ。おまえ、自分がなにをしたのかわかっているのか」

「っ……ご、めん、なさい」

「謝って済むことではない! いったいどれほど私たちが心配したことか──!」

 エヴラールが珍しく怒気を孕ませる様子を、ルイーズははらはらと見守った。

 止めたい気持ちはあるが、これは止めてはいけないことだろう。

 まだ六歳の男児が、こんな深夜に誰にも相談せず外出するなんて言語道断。それこそ〝万が一〟があっても決しておかしくはなかったのだから。

(でも、リュカ……なにをそんなに一生懸命、拾って……)

 俯き震えるリュカの腕のなかには、何本かの花が大事そうに抱えられていた。

 けれど、ただの花ではない。花弁部分が、まるで水晶のごとく透き通っている。

 それを見た瞬間、ルイーズの頭に先日聞いた言葉が蘇る。

『水晶花ってのはジルダ湖の周りに咲く花のことさ』

『ただきれいなだけじゃなくて、水晶花には魔力を安定させる力がある。だから、ここらの民のあいだでは一種のお守りとして流通してたんだが……。これも、湖が穢れちまったせいでぐんと数が減っちまってよ』

 城下に行ったとき、屋台の店主が見せてくれたガラスのような花弁。

 リュカが抱える花弁は、まさにあのとき見た花弁そのものだった。

(水晶花……もしかして、ルゥの、ため?)