ちびっこ聖女は悪魔姫~禁忌の子ですが、魔王パパと過保護従者に愛されすぎて困ってます!?~




 燃えるように熱い身体。ガンガンと痛む頭。呼吸がしづらくて咳き込むと、軽く上半身を起こされて背中をさすられた。

 その感覚に、ずいぶんと遠くの方にあった意識がわずかながら戻ってくる。

「──……最近、少し様子がおかしい節はあったんです。ふらつかれていたり、顔色があまり芳しくなかったり、いつも以上に眠たがったり……。本人は大丈夫と言うのですが、やはり心配だったので今日は外出はせずに過ごそうと」

「途中まではいつも通りだったんだ。とくに異常もなく、リュカさまとお話されていた。だが、急に胸が熱いと訴え出して……かと思ったら、そのまま倒れられてしまってな。わたしのせいだ。もっと気をつけて見ていれば──」

 従者たちの沈痛な声が聞こえる。

 うっすら目を開けると、視界の先にぼやけて見えたのは黒い塊だ。

 それが父であるグウェナエルだとすぐにわかったのは、ルイーズの意識が戻ったことに気づいた彼が手を伸ばしてきたからだった。

 ひんやりとした大きな手が額に触れる。その柔らかな冷たさにほっと息を吐き出しながら、ルイーズはなんとか『パパ』と口を動かした。

「少し疲れただけだ。きっとすぐによくなる。いまはゆっくり休め、ルイーズ」

 そっと頭を撫でられ、ルイーズはぼんやりと父の声を受け止める。

「おまえががんばり屋なことは知っていたのに、気づけなくて悪かった」

 そんなことないよ、と言いたかった。

 けれど、意識はすぐに重たい水の底へ沈んでいく。

(……ルゥの、知らない、なにかが……)

 身体の奥底で得体の知れない熱の塊が疼いていた。暴れまわるそれを外へ溢れださないようにするのが精いっぱいで、思考が散開してしまう。

 自由自在に操ることができる聖女の力とは、まったく性質の異なるもの。されど、おそらく力の湧きどころ、根源は同じであるがゆえに持て余しているソレ。

 なんと表現したらいいのかわからない。

 ただ、どうしようもなく苦しかった。怖かった。まるで身体が作り変えられているようで、名伏しがたい恐怖がルイーズの心を支配していた。

「……ルイーズ。おまえは──」

 愛称ではなく、名前で呼んだグウェナエル。その言葉の先を聞く前に、ルイーズの意識はまたもやぶつりと途切れてしまった。