王位を狙ってくるものがいれば正面から受け止め、貶すことも必要以上に痛めつけることもなく、その者がさらに高見へとのぼれるように指導していた。
グウェナエルが大魔王として魔界を支配していた時代、そうして彼に育てられた者は数えきれないだろう。
ディオンやエヴラールだって例外ではない。だからこそ、彼こそが〝王座につくもの〟として相応しいと思っているし、そうあることを望んでいた。
──彼がふたたび目覚める、あのときまでは。
(不思議、ですね。〝王〟のときよりも、いまの方がずっとこの方らしいなんて)
「……グウェンさまは、やはり〝父〟ですね」
「どういう意味だ」
「どれだけ一緒にいても、自分は姫さまの父親にはなれませんでしたから。あなたを見ていると、なおのこと実感しますよ。まあ、それでいいのですけど」
むしろそうならないように、ルイーズがディオンを父親だと思わないように、最大限の配慮をしてきたのだ。
ミラベルが毎日のようにグウェナエルの話をしていたのも、日頃からルイーズの意識に〝父親〟という存在を残しておくため。混在しないようにするためである。
その甲斐あってか、ルイーズはグウェナエルをすぐに父親として受け入れた。
いっそ拍子抜けしてしまったくらいに、あっさりと。とはいえ、ディオンとしては最重要ミッションをクリアしたといってもいい。
「話を戻しましょうか。──最近の姫さま方について、でしたっけ」
「ああ。……あの子たちはやはり、今回の件から手を引くつもりはないのか」



