だが一方で、ディオンやベアトリスほど過保護ではない。どちらかというと、日々の成長を温かく遠目で見守っているような節があった。
「べつに意外ではないだろう。父親が娘に甘いとはよく聞くが、甘やかすのとは意味がちがう。それに、ルイーズは〝見定められる〟からな」
「というと?」
「思考を巡らせ、あらゆる道筋を検討して、そのとき自分がこれだと思った選択をする。最適解か否かは差し置いて、あの子はもうすでにそれができているだろう」
「ええ。姫さまは非常に賢いお方ですから」
「ならば俺は、それがまちがった方向へと進まぬように見守りたい。これまで小さな世界で生きていた分、広い視野を持った子になってほしい。それだけだ」
そう答えるグウェナエルの瞳には慈愛が浮かぶ。
おそらくその目は、すでにはっきりと未来を見据えているのだろう。
そう悟ったディオンは、面食らう一方でいっそ呆れてしまった。
(昔から思っていましたが、この方は真の髄まで〝上に立つもの〟なのですね。たとえその地位がなくなっても、性質自体は変わらないようで)
王者の風格──否、余裕と言った方がいいだろうか。
グウェナエルは常に世界を達観している。
力で捩じ伏せてしまえば簡単だが、決してそうはしない。
己の周囲に集うものを大切にし、彼らがよりよい方向へ進めるように導く。昔からそうだ。彼はいつだって〝羅針盤〟のような王であった。
圧倒的な力を有しているにもかかわらず、それをひけらかさない。



