「この川の水をぜーんぶきれいにしてもね、解決にはならないよ」
「どうして? 川がきれいになれば、みんな水を汲めるようになるのに?」
「いっときはね。でも、だめ。だって、この川の根元はジルダ湖だもん」
ルイーズは上流の方をじっと見ながら続ける。
「屋台のおじちゃんも言ってたでしょ? そこにいる〝魔物〟っていうのが毒を出してるから、こっちの川まで汚れちゃってるって」
根本的な原因を取り除かなければ意味がないのだ。
いくら川を綺麗にしても、結局のところいたちごっこになってしまう。
「そっか。じゃあ、やっぱりその魔物を倒さないとだめなんだ」
「うん。……ところで〝魔物〟ってなに?」
ルイーズの放った疑問に、リュカが「いまさら!?」とずっこけた。
「し、知らなかったの?」
「うん。悪魔と魔物ってちがうんだね」
「まったくちがうよ!?」
とはいえ、前世の知識から、なんとなくのイメージならばついているのだが。
しかし、こちらの世界のそれとはまったく異なる場合もある。ならばもっと早く聞けばよかったのだが、なかなかタイミングが掴めずにいたのだ。
「魔物はね、えっと……なんて言ったらいいのかな……」
的確な言葉が見つからないのか、リュカはうんうんと唸り始めた。
「自分が説明いたしましょう、リュカさま」
そんな彼に、ディオンが優しい微笑を向ける。
「魔物はなにかしらの生き物が突然変異することによって生まれます。それは今回のように魚であったり動物であったりさまざまですが……残念ながら、魔物になった以上はそれはもう生き物ではなくなってしまうのです」
「生き物じゃなくなる……?」



