そうしてしっかりと体内に流れこんだ毒素を浄化できているからこそ、ひと月もの長い間、この地獄のような地で生きながらえているのだろう。
「……しかし! 相手はザーベスですよ!?」
「ザーベスも人間も、そんなに変わんないと思う」
「むしろ同じ部分がありませんよねっ!? もしも万が一それで姫さまの御身になにかあったらどうするのです……!!」
くわっと目を引ん?くディオンに、ルイーズは眉尻を下げて肩を落とした。
(んもう。ディーの頭、なんでこんなカチカチ?)
否、そもそもこの世界の人間は〝そういうこと〟を思いつかないのか。
聖女の力は〝人のため〟にある。そんな認識だから。
人のために用い、人のために捧げ、人の未来を照らすために存在するもの。
それ以外の使い方など、はなから考えないのかもしれない。
(できると思うんだけどなあ……)
だが、幸か不幸か、ルイーズの〝価値観〟はこの世界に囚われていなかった。
それはなにも、生まれてこの方ルエアーラ幽谷から出たことがなく、人といっさい関わりがなかったから──という理由だけではないのだ。
(だって、前の世界でやってたゲームでは、聖女が土地ごと浄化してたもん。ゲームの名前は……ちょっと、思い出せないけど)
ルイーズは、ルイーズとしての記憶のほかに〝もうひとつの記憶〟を持っていた。
それがおそらく前世の記憶だと察したのは、はたしていつだったのか。
幼い頃から物わかりがよく、年齢のわりに賢くて知恵が回るのも、すべてはその前世の記憶があったからにほかならない。



