「そうか、そりゃあ悪いことしたな。せっかくの休暇を邪魔しちまったか」
「いえ、助かりました。クレプアンもありがとうございます」
「ゆっくり食いたいなら、この先の広場を抜けた場所に行くといい。そこにちょうどいい休憩場がある。大抵のやつらは広場で留まるから、この時間は穴場なんだ」
どうやらこの鹿角の店主は本当に善良な悪魔なようだ。
(悪魔って言葉だけじゃ怖いイメージだけど、やっぱりそんなことないよね)
ルイーズはなんともほっこりしながら、んふふと笑みを浮かべた。
「ありがと、おじちゃん。じゃあ、そこに行くね」
「おう。嬢ちゃんもまた来てくれや」
「うん」
とはいえ、バレてしまった以上、長居は無用だ。いくらよい悪魔でも、あまり関わっては〝王子〟と共にいるルイーズたちに疑問の目が向くかもしれない。
そう危惧したルイーズは、自ら話を打ち切ってディオンに目配せした。その意味を正しく受け取ったディオンは視線だけで頷いてくれる。
「──では、失礼します」



