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約一時間後──ばっちり身支度を終え、ルイーズたちは城下へ降りた。
高地にある城からある程度の様子は見えていたが、いざ街中に繰り出せば、そこには想像を悠に超えるほどの煌びやかな世界が広がっていた。
「はわわわ……はわあああ……」
天の川を一箇所に集めて町を作りあげたような〝星の国〟。初めて目にした魔界の様子とは比べものにならないほど幻想的で美しい。
どこもかしこも整備が行き届き、全体の雰囲気も統一されている。
「ねね、ディー。悪魔ってみんな人型なんだね?」
町を行き交う悪魔たちを眺めながら、ルイーズはディオンに訊ねた。
「あえて、ですよ。本来の姿はべつにある場合が多いです。自分もそうですが、日常生活では人型になっていた方がなにかと便利なんですよね」
町を歩いているのは、もっぱら人型の悪魔だった。
稀にディオンのように獣耳が生えていたり、角のようなものがあったり、尻尾が揺れていたりすることはあるが、凶悪な見目をしているものはいない。
意識していなければ、ここが魔界であることすら忘れそうになるほどだ。
「リュカ、すごいね。ルゥ、こんなとこ初めてきたよ」
視界に入るものすべてが新鮮で、目新しい。浮わつく感情を抑えきれずパタパタと両腕を動かして興奮を逃がしていると、リュカがクスッと笑った。
「ルゥが楽しそうでよかった」
リュカは王子とバレないように外套を羽織り、頭巾を被っている。
けれど、その下に覗く風貌は相変わらず甘く端麗だ。屈託なく微笑むとまさに〝王子さま〟で、ルイーズは少しだけどきっとしてしまった。



