「そう、でしょうか? 騎士時代は男女共通の軍服だったので、どうも戸惑いがあるのです。足元がスースーすると言いますか……」
ベアトリスが着用しているのは、女性用の騎士服だ。
金の肩章やブレード、丈の短いダブルブレストは騎士然としてかっこいい。一方で胸元のレースアップシャツやフィッシュテールスカートは女性らしく華やかだ。
タイツとブーツのおかげで露出が少ないのもまた、ルイーズ好みだった。
「ルゥもいつか、ベティみたいにかっこいいキレイな人になれるかな?」
「わたしには身に余るお言葉ですが……姫さまならば、必ずお美しくなりますとも。いまでこそ大変愛らしいのですから!」
「ほんと?」
「はい。これからのご成長が楽しみです」
ベアトリスのうっとりとした様子を見て、ルイーズはくすくすと笑ってしまう。
言葉にせずとも自覚できるほどには、ベアトリスから愛情が伝わってきたからだ。
(ベティが来てくれて、よかったよね)
ベアトリスとの信頼関係も、日を重ねるにつれ着実に築かれている。
とくに女同士、入浴なども共にできるのは大きかった。ディオンは自分の出番が減ってやきもきしているようだが、何事も適材適所なところはある。
いまはまだしも、ルイーズは大人に向けてどんどん成長していくのだ。
その過程のなかで、ディオンではどうにもならないことも出てくるだろう。
そういうとき、ベアトリスの存在はこのうえなく頼もしい。
(ママの代わりって思わないように。それだけは、気をつけておかなくちゃ)
ルイーズは自分の心に言い聞かせ、もう一度ベアトリスを見上げた。
「いつもありがと、ベティ」



