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「どうぞ、陛下。適当にお座りください。葡萄酒でよろしいですか?」
「ああ」
エヴラールがグウェナエルを案内したのは己の執務室だ。
この城に話の邪魔をする者はいないが、呑み交わすのなら慣れた場所がいい。とりわけエヴラールにとっては、勝手知ったるこの部屋が一番落ち着く場所なのだ。
(……五年ぶりだというのに、変わりませんね。陛下は)
毅然と座っているだけで、ただのソファが豪奢な玉座に見えてくる。
それは圧倒的な王としてのカリスマ性がなせることなのか、あるいは彼の存在自体がこの世を統べるものとして構成されているのか。
どちらにしても、彼ほど〝王〟に相応しい者は他にいない。過去も未来も、きっと二度と現れないだろう。エヴラールは以前より、そう確信していた。
「改めて。お帰りなさいませ、陛下」
「陛下と呼ぶなと言っているだろう、エヴ」



