「た、食べるなんてとんでもない! ザーベスの毒はほんの一滴でも致死量に値すると言われているんですよ。自分でもおそらく耐えられません」
「でも、お花だから、きっと蜜があるよね?」
「そう、ですね……。蜜もありますし、茎の水分量は豊富だと聞きます。花弁も蜜も茎も、毒薬のなかでは最高級品として裏取引されている代物ですので……って、え? 姫さま、まさかとは思いますが、なにかよからぬことを考えてませんっ?」
ルイーズを抱えるディオンの腕に力が籠る。
(ルゥなら……どうにかできる?)
じっとザーベスを見つめながら、ルイーズは小さな頭をフル回転させた。
花弁、蜜、茎──毒。やってみないことにはわからない。
けれど、そこに可能性があるのなら、やってみる価値はある。
しばし思考を巡らせたルイーズは、最終的にそう判断して、口火を切った。
「これ、食べてみよ。ディー」



