美しい、私の大好きな人。
彼はどこか辛そうにしていた。
「…どう、したんですか?」
初めて見るエイダンの表情に驚きながらも、私は質問する。
一体何がエイダンにそんな表情をさせているのか。
「これ、飲んで」
心配している私なんてよそにエイダンがそう言って笑う。だが、その目は暗く、とてもじゃないが、楽しそうには見えなかった。
「…そ、それは何ですか?」
エイダンが今まさに私に飲ませようとしているものに不安げに視線を向ける。
エイダンの手にある小瓶には何か液体が入っている。
ピンクと紫が混ざり合う途中のようなその液体はどこかキラキラと怪しく光っていた。
とてもじゃないが、安全なものには見えない。
本能的に危険物ではないかと警戒してしまう。
「ああ、これ?惚れ薬だよ」
「え」
私の質問にあっけらかんと答えたエイダンに言葉を失う。
…今、エイダンは惚れ薬って言った?
私にそんなものを飲ませるの?
今の状況をなかなか飲み込むことができず、固まっていると、エイダンは歪んだ笑みを浮かべて、その美しい口を開いた。
「お前の心以外全部手に入れさえできればいいと思ってたけど違った。俺はお前の心も欲しくなった。だからお前の心も俺のものにする。いいよね?」
「よ、よくないですよ!」
微笑むエイダンに私はやっと言葉を発する。
もし、私が今この薬を飲んでしまったら。
エイダンは本当に私の想いを信じられなくなってしまう。
私がいくらエイダンを好きだと言っても、それは薬によるものだと思ってしまう。
そうではないのに。
私は本当にエイダンが好きなのに!
このままではエイダンがずっと苦しいままではないか。



