だからこの恋心は消すことにした。





初めてこの景色を見た時は嬉しくなってよく雪遊びをしたものだ。
そして未だにその雪遊びに飽きることはなく、空き時間を見つけてはちょくちょく雪を触っている。
今はたくさん雪を集めて、大きな雪のお城を作ることに挑戦中だ。

ここにはエイダンの魔法により何でも揃っている。
困ることは何もない。何不自由ない生活。
さらにそこには愛する人、エイダンまでいるのだ。

幸せに決まっている。ずっと続いてもいいとさえ思える。

けれど、ここへ来て、もう1ヶ月だ。
エイダンに与えられていた休暇は2週間。
任務の最終日から合わせても、私たちは少なくとも2週間は音信不通の状態だ。
そろそろ離宮の魔法使いたちや王宮が私たちの所在を心配し始めるだろう。

そして彼らはきっと私たちを探すはずだ。
だが、いざ探してみると、当初の予定では滞在予定であった、海の街ロロマーナのホテルへの滞在履歴はなく、私たちの任務以降の足取りが一切ない。
私たちの異変に気づき、必死に探しても私たちはエイダンの魔法によって見つからない。

そんな状況になれば誰だって心配するし、不安になるものだ。

ここでの生活は楽しいけれど、誰かを心配させたり、不安にさせたくはない。
それに私には彼ら魔法使いたちの秘書官としての仕事がある。
きっと私の代わりの秘書官はたくさんいるだろうけど、私のように長く続けられる秘書官はなかなか現れないだろう。
秘書官が何度も何度も変わることは魔法使いたちにとっても、国にとってもよくないはずだ。

それに何より私は彼らにも会いたい。
彼らはエイダンとはまた違うが、大事な存在なのだ。

だからこそ、私は帰りたい。
その為にもエイダンに私の気持ちを信じてもらい、一緒に帰れるようにしないといけない。



「…外に何があるの」



そんなことを考えながらも、ずっと窓の外を見つめていると、どこか暗い声でエイダンが私に話しかけてきた。



「雪ですね、それから木…とか」



窓の外からエイダンへと視線を向ける。
するとそこには仄暗い表情でこちらをじっと見つめるエイダンがいた。