逃げているとは自分でもわかっていたが、どうしても逃げずにはいられなかった。
それだけエイダンのことが好きだった。
「…俺もラナの気持ちわかるよ。相手との終わらない関係をずっと築いていたくて、そこから抜け出せない気持ち。側にいるだけで、想うだけて幸せだって思える気持ち。でもね、きっといつかそれだとラナは後悔するよ。今の俺みたいに」
「え?カイですか?」
今にも泣き出しそうな表情でゆっくりと言葉を紡ぐカイの言葉が意外で驚いてしまう。
カイのあの言い草では、カイも私と同じ境遇である、もしくはあったということだ。
少々意外に思えてしまったが、そういえばカイは見た目は美少年で未成年に見えるが、実は私よりもずっと年上の魔法使いであることを思い出した。
長く生きてきたカイなら、きっと私よりもうんといろいろな経験をしており、その中にはもちろんいろいろな恋もあったのだろう。
人生の大先輩であると改めて認識して、カイを見つめると、カイは綺麗な涙を流していた。
「カ、カイ?」
泣き始めたカイに私は慌てて、ポケットに入れていたハンカチを差し出す。
カイはそれを受け取ると、「…ご、ごめんね、ラナ。ありがとう。俺が泣いちゃって情けないね」と涙を拭いながらそう言った。
それから少し泣いた後、カイは呼吸を整えてまたゆっくりと口を開いた。



