「どう?気に入った?」
エイダンが目の前に広がる美しい景色ではなく、私に視線を向け、私の様子を伺う。
「はい、とても。皆さんはこんな美しい景色をいつでも見られるのですね」
私は景色と一緒にエイダンのことも見つめ、感嘆の声を上げた。
優しくも刹那的な太陽の光を浴びて、キラキラと輝くエイダンの金髪はまるで神様からの祝福を受けているかのように美しく、私をまっすぐ見つめるアメジスト色の瞳は宝石のように輝いて見える。
私の目に映るもの全てが美しい。
先ほど〝皆さん〟と言ったが、きっと今目の前に広がるこの景色を見られるのは私だけなのだろう。
トクンッと心臓が静かに跳ねる。
またエイダンへの好きが溢れ出していく。
消してしまったはずのそれが私の胸を騒がせる。
『消えた恋心は戻せないけれど、また作ることはできる』
ふと、私はアランが言っていた言葉を思い出た。
私、きっとまたエイダンを好きになっているんだ。
恋心を消す前、私は気がつけばエイダンのことを目で追って、好きになっていた。
きっかけはよくわからない。
だが、好きになってからエイダンの好きなところはいっぱい見つけた。
歪んでいるけど、どこか幼さの残るエイダンが好き。
意地悪く笑う顔が、私には悪戯っ子のように見えて好き。
それでいてたまに見せる心からの笑顔も好き。
何かを深く考える横顔も好き。
気まぐれに私に手を貸すエイダンも好き。
考えれば考えるほど、エイダンへの好きが溢れてくる。
「ふ、いい顔」
景色ではなく、今度はエイダンだけを見つめる私に気づき、エイダンが満足げに瞳を細めて笑う。
その姿があまりにも美しく、私は思わず心を奪われ、何も言えなくなってしまった。
私は今、一体どんな顔でエイダンを見ていたのだろうか。
…いや、考えなくともわかる。
きっと恋心を消す前と同じ顔でエイダンを見ていたのだろう。
満足げに微笑むエイダンの瞳。
そこにはエイダンに想いを寄せる女…私の姿がはっきりと映っていた。



