ふと、前からエイダンの爽やかで優しい香りが柔らかな風に乗って、ふわりと私の鼻に届く。
エイダンの爽やかな香りは、私にはとても甘く、エイダンを好きだったあの頃の私をいつもいつもときめかせていたことを思い出した。
…好きだな。
「…っ」
突然、浮かび上がった思考に思わず、目を見開く。
「…わぁ」
だが、その思考は、目を見開いた先の景色の衝撃によって一瞬でどこかへ吹っ飛んでしまった。
横座りしているエイダンの向こうに広がる夕焼け空。
そこには街へと輝きを放ちながら沈む大きな太陽があり、その太陽の輝きが空にオレンジから深い青へと変わる美しいグラデーションを作っていた。
ここは街の上。空だ。
所狭しと建ち並ぶ建物も、森に生い茂る木々もここには何もない。
この幻想的な景色を邪魔するものは一切ないのだ。
そのことがより一層、この景色の美しさと神秘さを増させた。



