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エイダンの奇妙な行動が始まってから、気がつけばもう1ヶ月が経った。
今日も王宮での怒涛の会議ラッシュに疲れながらも、離宮内の庭を移動していると、美しい夕焼けの空から横乗りで箒に乗ったエイダンが現れた。
そしてそのまま私を見つけると、エイダンは突然、私を自身の箒へと乗せ、空へと舞い上がった。
「エ、エイダンっ!?」
あまりの怖さに隣にいるエイダンの服をぎゅうっと強く掴む。
そんな私を見てエイダンは「はは、いい景色」と楽しそうに笑っていた。
私はもちろん全く楽しくない。
事情も何も説明されず、急に箒に乗せられ、街にいる人々がまるでおもちゃのように小さくなるほどの上空へと連れて来られたのだ。
ここから落ちてしまえば即死だと思うと震えが止まらない。
「そんなに怯えなくても大丈夫だよ。お前は落ちないから」
この状況に真っ青になっている私におかしそうにエイダンがそう言ったが、私はエイダンのことを完全にはどうしても信じられなかった。
あまりの恐怖に我慢ならず、ギュッと両目を閉じる。
両目を閉じたことによって、周りの状況が全くわからなくなったが、頬に感じるゆったりとした流れの柔らかい風が、私たちが今ゆっくりと空の上を移動していることを知らせた。



