だからこの恋心は消すことにした。






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天気のいい昼下がり。
離宮を何となく歩いているとラナとカイの楽しそうな笑い声が中庭の方から聞こえてきた。



「ふふ、やっぱりラナは何でも似合うね」

「ありがとうございます、カイ。カイにもきっと似合いますね」

「へへ、そうかな」



ラナの頭には白い花の冠が付けられており、そんなラナをカイが愛おしそうに見つめている。

前まではラナに特別な感情を抱く魔法使いたちを見てもラナの特別ではないアイツらを鼻で笑っていた。
可哀想で愚かだと思っていた。


それなのに。
今はどうしてこんなにも胸が騒がしいのだろうか。



「ねぇ、ラナ」

「はい?」

「今のラナ、何だか花嫁みたいだね」

「そうですか?」

「うん。結婚する時のラナはきっとこんな感じなんだろうな。とっても綺麗だよ」

「えへへ。何だか照れますね」



ラナの髪に遠慮がちに触れながら、まるで自分が花婿にでもなったかのような表情でカイがラナを見つめている。

ラナも満更でもなさそうで腹が立った。


お前の心は俺のものだろう。
何でそんな何とも思っていない魔法使いにそんな顔を見せるんだ。



「…ど、どうせだったらこのまま、その…結婚式の、…れ、練習…しちゃう?」

「結婚式のですか?」

「う、うん」



真っ赤な顔をしているカイにラナが首を傾げている。


断れよ。そんな願いなんて。



「ふふ、いいですね」

「何でだよ」



ラナの返事が聞こえたと同時に我慢ならずに俺は思わず2人の間に魔法で現れた。



「エイダン?」



ラナが不思議そうにこちらを見ている。
ラナとそれからカイをギロリと睨めば、カイは気まずそうに俺から視線を逸らした。



「どうしたんですか?急に現れて。何か緊急の用事ですか?」



やっぱりラナの瞳は真っ直ぐでその奥に隠された恋心なんてものはない。
どの魔法使いにも向けられるただの優しい瞳だ。

俺への葛藤が綺麗さっぱり消えている。