5分後には葉月を含め、全員呆気に取られていた。

「とりあえず火ぃ起こすから、手空いてる人は新聞紙でこのくらいの棒作って。12〜3本くらい。あとは炭を大小でサイズごとにわけといて。」

「肉は切らずに焼くけど、もうクーラーボックスからは出しといて、常温にするから。塩胡椒もちょうだい。」

「野菜は肉を常温に戻してる間に俺が切るから、とりあえず食べたい分だけ出しといて。包丁どこ?」

羽生が的確に指示を出していた。

「し、新聞紙で棒作ったよ。」
クラスメイトが野菜を切り始めている羽生に声をかけた。
「そしたら、こんな感じで“井”の字になるように組んで…」
羽生が指で“井”のような形を作った。
「その上と周りに、まずは小さめの炭から置いていってもらって…」
羽生が野菜を切る手つきも慣れたものだ。

「ねえ、どういうこと?羽生くんて、バーベキュー番長なの?」
茅乃が葉月に話しかけた。
「さ、さあ…?料理は好き?みたいだけど…」
葉月も他のクラスメイトと同じように戸惑っていた。

———俺の静かな高校生活を邪魔したこと、恨むからな

(どういう意味?あだ名が“バーベキュー番長”になっちゃうってこと?)