【明日の土曜日ケーキ屋さんに行かない?寮を出た所で待ち合わせして、一緒に駅まで行こう】
というメールを貰った、木曜日の夜。
そして今は、金曜日の朝。
メールに気づいたのは今朝で、寝ぼけた頭にガンと衝撃が加わった感じ。だって、なんか……本当に「デート」の約束みたいで。
楽先輩の文字を読んだだけで、全身が温かくなるような。そんな甘さを覚える。
といっても。
ガンッ
「イッタ……」
「あ、悪い。そこにいたのか芽衣」
「~っ!!」
登校して、自分の席に着いた途端。頭に鈍い痛み。見上げると、声宮くんのカバンの角が、私の後頭部を直撃していた。
「もっと謝ってくれても……」
「え?もう一回お化け屋敷に行きたい?」
「い、行きたくない!」
あんな怖い場所は絶対に行かない!と、机に置いたままの自分のカバンをギュッと抱きしめる。
その時、大きな歌沢くんの人形が、私の腕からはみ出た。もちろん、目ざとい声宮くんが、ぬいぐるみを見逃すはずがない
「お前、その人形なんだよ。大きすぎねぇ?それに、人形の顔……」