だけど、何をどうしたら……と、そこまで考えた時。凌久くんが目にしているものを一緒に見る。

凌久くんが見ていたものは、また、アリ。そのアリは、さっきと同じアリだった。エサを持って立ち往生していたアリだったけど、今はだいぶ前進していた。

あ、そうか。

私も、前に進めばいいんだ。

同じ所で立ち止まってるから、何も変えられないんだ。

だったら――


「あの、凌久くん。お話があります」

「……ん。なんだよ」


私を見る、座ったままの凌久くん。私は凌久くんの前へ行き、同じようにしゃがんだ。

そして――


「凌久くんの事が好きです。私と、付き合ってくれませんか?」


前に進む言葉を、

私はついに、言ったのだった。