と言ったまま、凌久はまた、何やら考え込んで口を閉じた。えと、どうしたんだろう?

あ、分かった。私が「赤い糸」とか言うから、やっぱりドン引きしてるんだ。

でも、あまりにも私が真剣だから、さすがの凌久くんも気を遣って何も言わない、とか?


だけど、私の想像とは違う――斜め上の回答を、凌久くんは口にしたのだった。


「それが理由なわけ?」

「へ?」

「いつも俺を見るんじゃなくて、芽衣が違うところを見てたのは……その“赤い糸”を見てたから?」

「え……私、いつも違う所を見てた?」

「不自然なくらいに、目が合わない時があったぞ」

「ご、ごめん。たぶん、赤い糸を見ていたんだと思う」


素直に答えると、凌久くんは大きく息を吸って、長く吐いた。「はぁ〜」と。そして見て分かるくらい少しずつ、肩の力を抜いていく。